MOON PHASE 雑記

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「BALDR SKY Dive1 "LostMemory"」

戯画のTEAM BALDRHEADによる『BALDR』シリーズ最新作は、主人公が戦場で失った記憶を取り戻しながら、かつて幸せだった自分たちから全てを奪い去った悲劇の事件の真相へと迫っていくサイバーパンクアクションアドベンチャー。本作は、2部構成の第1部に当たり、いわゆる分割方式なので、完結編が出るまでは評価を保留するのが常套なのですが、多くの謎を残すシナリオの未完部分を評価から差し引いたとしても、ゲーム性、グラフィック、BGMと総じてポテンシャルが高く、これ単体でも十分楽しめる完成度なので、「俺たちに翼はない」以来久々に、今年2本目の◎評価を付けました。これで分割でなければ、早々に2009年のトップ確定もあり得たのになあ。勿体ない。『BALDR』シリーズらしく、ルート固定で、攻略データを引き継いで、周回プレイしながら、徐々に物語の全貌が見えてくる構造。6人のメインヒロインのうち今回攻略できるのは、サバイバルモードで入手できる妄想ファイルは別にして、主人公の部下・桐島レイン、主人公の幼なじみ・若草菜ノ葉、学生時代の主人公のシュミクラムチームメンバー・渚千夏の3人で、攻略順は、レイン→菜ノ葉→千夏で固定。そのルート固定がネックで、とある事情で主人公に一途に尽くすレインの姿を最初に強制的に見させられるので、その後の菜ノ葉ルートと千夏ルートでは、レイン視点だと強烈な寝取られ感を味わうことになる。まあ、寝取られは表現として言い過ぎかもだけど、とにかく切ないんだよね。OP曲の歌詞も、攻略後に聴き直すと凄く泣ける。常に焦燥感に駆られながら戦い続けて、たった一人守りたい人のために、時には同僚、親族、友、そして、傷付いた者同士支え合ってきたレインですら自らの手で倒さなければならない選択を迫られる非情なストーリー展開は圧巻。だからこそ、過酷な状況下での、刹那のヒロインとの逢瀬がとても愛おしく感じられる。逆に幸せに浸っていた学園パートがつまらなく感じてしまう欠点もあるんですけど。あと、当然そんな世界観なので、場合によっては回避不可の陵辱シーンもあるのでご注意。生身リアルボディがガチで犯されるのは菜ノ葉バッドだけですが…。レインルートを終えた時は、空が電子体幽霊だとオチが「BALDR FORCE」と被るよなあとか思ってたんだけど、ドミニオンの巫女の言葉や、千夏ルート最後のエージェントの言葉から、特異点の向こう側の世界…全てが覆る可能性が示唆された。空の消息だけでなく、灰色のクリスマスの時クゥに起こったことやら、グレゴリー神父の正体やら、方舟計画の全貌やら、久利原先生が主人公に飲ませた薬やら、エージェントの言う主人公だけが可能とする特殊性の正体やら、まだまだ謎は盛りだくさんですが、全てが明らかになる結末に救いはあるんだろうか?「BALDR SKY Dive2 "RECORDARE"」が本当に年内に出れば文句なしだけど、例え延びても、それを待ち続けたいと思わせるほどのパワーはある作品。